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不動産売却の囲い込みとは?避けるための対策と見抜き方

不動産売却の囲い込みとは?避けるための対策と見抜き方

不動産売却を検討している方の中には、「囲い込み」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。囲い込みとは、一部の不動産会社が自社の利益を優先するために、売主や買主の利益を犠牲にしてしまう行為です。知らずに任せてしまうと、販売期間の長期化や売却価格の低下を招く恐れがあります。本記事では、囲い込みの実態と見抜く方法、そして信頼できる不動産会社を選ぶための具体策を詳しく解説します。

1.不動産売却における「囲い込み」とは

 囲い込みとは、不動産会社が自社の利益を優先し、他社からの買主紹介を妨げる行為を指します。通常、レインズを通じて情報は共有されますが、囲い込みが行われると売却チャンスが減少し、結果的に価格が下がる恐れがあります。まずはその仕組みと実態を理解することが重要です。

1-1 囲い込みの仕組みと背景

 「囲い込み」とは、不動産仲介会社が自社の利益を優先し、他社からの購入希望者を意図的に排除する行為を指します。通常、不動産は「レインズ(不動産流通標準情報システム)」という全国共通のデータベースに登録され、複数の不動産会社が買主を探せる仕組みになっています。しかし、一部の仲介業者は、自社が「売主」と「買主」の両方を担当する“両手仲介”による高い手数料を狙い、他社からの問い合わせを断ったり、情報を遅らせたりします。これが「囲い込み」です。表面的には「販売中」となっていても、実際には他社経由では紹介できないケースもあり、結果的に買主候補の数が減少し、売却チャンスを逃してしまうことになります。

1-2 囲い込みがもたらすデメリット

 囲い込みが起こると、最も損をするのは「売主」です。なぜなら、他社の顧客が購入を希望しても紹介されないため、競争原理が働かず、結果的に売却価格が下がりやすくなるからです。また、販売期間が長期化し、売主の心理的・金銭的負担が増大します。さらに、不動産会社が囲い込みを行っていることを売主が気づくのは困難であり、販売状況の報告を鵜呑みにしてしまうケースが多いのも実情です。売主にとって透明性の高い取引こそが理想ですが、囲い込みが発生すると情報の非対称性が拡大し、適正な市場取引が阻害されてしまいます。このため、売主自身が囲い込みの存在を理解し、早期に見抜く力を持つことが重要です。

2.囲い込みが起こる理由と実例

 囲い込みは、仲介会社が売主・買主双方から手数料を得る「両手仲介」を狙うことが主な原因です。営業ノルマや利益優先の体制が背景にあります。実際には、他社の問い合わせを断ったり、レインズ登録を遅らせるなどの手口で行われ、売主が気づかないまま損をするケースもあります。

2-1 囲い込みが発生する構造的な要因

 不動産仲介業界には、囲い込みが起こりやすい構造的な背景があります。最大の理由は、「両手仲介による報酬の倍増」です。売主からも買主からも仲介手数料を受け取ることで、1件の取引で2倍の収益を得られるため、一部の営業担当者が自社内で取引を完結させようとするのです。また、営業ノルマや会社方針により、早期の契約獲得よりも「自社利益の最大化」を優先するケースもあります。さらに、レインズ登録後の情報管理を担当するのが各社に委ねられているため、外部からの監視が十分に行き届いていないという制度上の問題もあります。こうした業界の構造が、囲い込みという不正行為を温存している現状があります。

2-2 実際に起こりうる囲い込みのパターン

 囲い込みにはいくつかの典型的なパターンがあります。たとえば「他社の問い合わせを断る」ケースでは、「すでに商談中です」「売主の希望と合いません」と理由をつけ、他社からの購入希望者を排除します。また、「レインズ登録を遅らせる・非公開にする」ケースでは、一般公開前に自社の顧客だけに紹介し、他社が買主を見つける機会を奪います。さらに悪質な場合、売主には「反応がない」と虚偽の報告を行い、実際には複数の購入希望者がいるにもかかわらず、価格交渉をコントロールして自社の買主に誘導することもあります。こうした行為は宅建業法上の「誠実義務」に反する可能性があり、売主としては注意が必要です。

3.囲い込みを防ぐための対策

 囲い込みを防ぐには、売主が情報を確認し透明性を確保することが鍵です。一般媒介契約を検討したり、レインズ登録証明書を確認して公開状況をチェックしましょう。販売状況の報告を鵜呑みにせず、具体的な数値や反応を確認することで、囲い込みのリスクを抑えられます。

3-1 売主ができる具体的な防止策

 囲い込みを防ぐために、売主自身が取れる対策はいくつかあります。まず重要なのは、**「専任媒介契約」よりも「一般媒介契約」**を検討することです。一般媒介であれば複数社に依頼できるため、情報の偏りが起こりにくくなります。また、契約後は「レインズ登録証明書」を確認し、登録日・公開状況・物件写真などが正しく反映されているかをチェックしましょう。さらに、販売活動報告を形式的に受け取るだけでなく、「問い合わせ件数」「他社からの反応」「内見希望者の有無」を具体的に質問することが重要です。透明性を求める姿勢を見せることで、囲い込みの抑止力となります。

3-2 信頼できる不動産会社の見極め方

 囲い込みを防ぐ最大の鍵は、「誠実な不動産会社」を選ぶことにあります。信頼できる会社は、売主の利益を最優先に考え、囲い込みのような不正を行いません。見極めのポイントは、①販売戦略や広告方法を具体的に説明してくれる、②レインズ登録情報を共有してくれる、③契約を急がせず比較を勧めてくれる、の3点です。また、口コミや実績、過去の対応事例を調べることも有効です。さらに、不動産会社が「専任媒介」を強く勧めてくる場合は、その理由を必ず確認しましょう。誠実な会社であれば、囲い込みを避けるための情報共有や透明な報告体制を整えています。最終的には“信頼関係”こそが安心できる売却への近道です。

3-3専任媒介契約におけるレインズ登録義務違反とは

 不動産の「専任媒介契約」または「専属専任媒介契約」を締結した場合、不動産会社にはレインズ(指定流通機構)への登録義務があります。専任媒介契約では契約締結日から7日以内、専属専任媒介では5日以内に登録しなければなりません。これは物件情報を広く公開し、他社を含む買主候補に公平に紹介するための制度です。
 しかし一部の業者が、囲い込み目的でレインズ登録を遅らせたり、意図的に非公開設定にするケースがあります。こうした行為は宅地建物取引業法第34条の2に定める「業務処理基準」に違反する可能性があり、行政指導や業務停止処分の対象となることもあります。売主としては、契約後に「レインズ登録証明書」を確認し、適正に登録されているかを必ずチェックすることが重要です。

4.まとめ:透明な取引で後悔のない売却を

 不動産売却の囲い込みは、売主にとって見えにくい問題でありながら、実際には大きな損失を生む可能性があります。両手仲介による高い報酬を狙う一部業者の行為により、売却チャンスが減り、価格が下がるリスクがあるのです。囲い込みを防ぐには、売主が主体的に情報を確認し、不透明な対応を見逃さないことが重要です。契約前に複数社を比較し、透明性・説明力・誠実さで判断しましょう。信頼できる不動産会社と共に、正しい情報と公正な取引を通じて、納得のいく売却を実現してください。

「専任媒介契約」または「専属専任媒介契約」を締結した場合のレインズ(指定流通機構)へ登録の有無は必ず確認をしましょう。
八幡地所株式会社<br>代表取締役 渋谷秀昭

八幡地所株式会社
代表取締役 渋谷秀昭

Hideaki Shibuya

購入した自宅を売却の際、不動産売買に興味を持ち実体験を活かしたく不動産業へ転職。売買専門の仲介会社、建売分譲会社で不動産売買の営業スキルを習得後、地元の流山市で地域密着会社として父が起業した八幡地所株式会社へ移る。
更なる流山市の発展に貢献できるよう現在は代表取締役として不動産売買の宅地建物取引業をメインに建設業・損害保険代理業を勤しむ。
なかでも不動産売買の相談や売買にまつわるお金に関する総合的な生活設計を行うプランニング、相続鑑定士として価値ある不動産の相続の相談に注力しております。

【保有資格】
●宅地建物取引士
●相続鑑定士
●2級ファイナンシャル・プランニング技能士/AFP
●2級建築施工管理技士
●賃貸住宅管理業業務管理者
●損害保険募集人(火災・自動車・傷害)

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