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相続した不動産を売却する際の注意点と手順

相続した不動産を売却する際の注意点と手順

相続した不動産を売却しようと考えている方へ。初めての不動産売却は、手続きや税金など分からないことが多いですよね。本記事では、相続と不動産売却に関する重要なポイントを5つのトピックに分けて分かりやすく解説します。これを読めば、スムーズに売却を進めるための基礎知識が身につきます!

1. 相続した不動産売却の基本知識

 相続した不動産を売却する際には、相続登記や名義変更が必要です。また、他の相続人がいる場合は遺産分割協議を行う必要があります。遺産分割がまとまらなければ売却が進まないため、全員の同意が重要です。まずは不動産の権利関係を整理し、売却前の基本的な知識を確認しましょう。

1-1 相続した不動産を売却する前に知っておきたいこと

 相続した不動産を売却する際は、不動産の現状把握と市場調査が第一歩です。不動産の所在地、広さ、築年数、権利関係などを確認、不動産がどのような状態か確認しましょう。老朽化や修繕の必要性、利用状況(空き家・賃貸中など)、固定資産税の未納がないかなどを確認します。さらに、修繕や解体が必要な場合には、その費用がどれほどかかるかも計算に入れるべきです。売却前にコスト面を理解することが大切です。

 また、売却を急ぐ場合でも、安易に価格を下げるのではなく、適正価格を知るために複数の不動産会社に査定を依頼することが重要です。不動産が共有名義の場合、売却にはすべての相続人の同意が必要です。他の相続人と意見が合わない場合、遺産分割協議が長引くことも考えられます。このため、初期段階で専門家を交えて話し合いを行うことでトラブルを未然に防げます。

1-2 売却を決める前に確認すべき相続の手続き

 相続不動産の売却を決める前には、「遺産分割協議」と「相続登記」の二つの手続きを確実に行う必要があります。最初に、相続人全員で遺産分割協議を行い、不動産をどのように扱うかを決定します。この際、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・押印することで合意内容を明確化します。

 また、遺言書が存在する場合は、その内容に基づき手続きを進める必要があります。次に、不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する「相続登記」を行います。この手続きが未了だと、不動産の売却契約を結ぶことができません。他の相続財産が絡む場合には、全体的な資産整理も併せて行うことが求められます。

2. 相続した不動産売却の流れと必要な準備

 相続不動産売却の手順は、相続登記→名義変更→不動産査定→売却活動→契約→決済が一般的です。特に相続登記と名義変更が遅れると売却が進まないため、迅速に行いましょう。また、不動産の書類や相続税申告に必要な資料も準備しておくことが重要です。

2-1 相続登記と名義変更のポイント

 相続登記とは、相続によって不動産の所有者が変更されたことを法的に証明する手続きです。2024年4月以降、相続登記は義務化となり早期対応が必須です。相続登記を行うには、遺産分割協議書、被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本、住民票などが必要です。

 また、固定資産税評価額を基に登録免許税を支払う必要があります。相続登記が完了すると、不動産の名義人が法的に相続人へ変更されます。名義変更が済んでいないと、不動産を売却したくても契約を結ぶことができないため、優先して対応する必要があります。司法書士に依頼するとスムーズに進められます。

2-2 不動産売却までの具体的なステップ

 相続不動産を売却するためには、ステップごとに明確な計画が必要です。①相続登記の完了:相続人に名義を変更します。②不動産会社の選定:複数の会社から査定を受け、適切なパートナーを選びます。③売却活動:広告を出し、購入希望者を募ります。④契約締結:契約条件の確認と交渉を行い、契約書を取り交わします。⑤決済・引渡し:代金の受領とともに不動産を引き渡します。この過程では、法律や税務に関する問題が発生することが多いため、専門家のアドバイスを受けることが推奨されます。

 この一連の流れには時間がかかるため、計画的な進行が重要です。特に、相続手続きが長引く場合は、売却開始が遅れることを想定し、早めの準備が必要です。

3. 相続税や譲渡所得税などの税金の注意点

 相続した不動産を売却すると、譲渡所得税が発生する可能性があります。特に売却利益が多い場合は税額も大きくなるため、特例や控除制度を活用することが重要です。また、相続税の納付が必要な場合もあるため、税務署や専門家に相談して正確な税額を把握しましょう。

3-1 相続税の基本と売却における影響

 相続税は、相続した財産が基礎控除額(※)を超える場合に課税されます。不動産はその評価額が計算の中心となり、売却後のキャッシュフローに大きく影響します。不動産の評価額は路線価や固定資産税評価額を基に計算されます。そのため、不動産の売却は相続税の納税資金を確保する有効な方法となります。ただし、売却益が生じた場合には譲渡所得税が課される点に注意が必要です。また、不動産を相続してから売却するまでの間に、固定資産税や修繕費などのコストがかかるため、それらの費用も含めたことが大切です。

 相続税を納付するために不動産を売却するなら、最初に税理士に相談し、全体の収支を把握のうえ総合的な資産管理を行うことが重要です。相続税申告の期限は相続開始から10か月以内のため、早めの対応が求められます。専門家のサポートを受けて正確に申告しましょう。
 ※基礎控除 3,000万円 +( 600万円 × 法定相続人の数 )

3-2 譲渡所得税を抑える特例や控除の活用法

 相続した不動産を売却する際、譲渡所得税を抑えるためには、特例や控除を適用することが重要です。代表的なものとして「3,000万円特別控除」があり、一定の条件を満たせば売却益から3,000万円を差し引くことができます。特に、相続した空き家の売却では「被相続人居住用財産の特例」が適用され、税負担を大幅に軽減可能です。また、「取得費加算特例」を利用すると、相続の不動産を売却した場合、相続税額の一部を取得費に加算できる特例です。これにより譲渡所得を減らし、譲渡所得税を軽減できます。

 これらの特例を活用するには、売却期限や必要書類の提出が求められるため、税理士など専門家に相談しながら進めることがポイントです。

※取得費加算の特例の適用条件例
 相続や遺贈(遺言による取得)で不動産を取得していること
 相続税を納めていること(基礎控除内で相続税が発生していない場合は適用不可)
 相続開始(被相続人の死亡)から3年10か月以内に売却すること



 

4. 不動産の適正価格の見極め方

 不動産売却では、適正価格を設定することが売却の成功につながります。不動産会社に査定を依頼し、複数社からの意見を比較するのが効果的です。また、周辺地域の相場情報を確認し、不動産市場の動向を把握することも大切です。

4-1 不動産査定の仕組みと活用のコツ

 不動産査定は、売却活動のスタート地点であり、適正価格を見極めるために欠かせないプロセスです。査定には、簡易的な「机上査定」と現地で詳細を調査する「訪問査定」の2種類があります。机上査定では、過去の取引データや市場動向を基に大まかな価格を算出します。一方、訪問査定では、物件の状態や立地条件、周辺環境などを考慮して詳細な査定価格を提示します。査定結果を活用する際のポイントは、複数の不動産会社から査定を受け、価格の根拠を比較することです。
 また、「なぜこの価格になるのか」という説明を求めることで、売却戦略や価格設定の妥当性を理解しやすくなります。最終的には、自分の売却目標やスケジュールに合った査定価格を選び、信頼できる不動産会社と契約を結ぶことが重要です。

4-2 相場情報の収集方法と信頼できる専門家の選び方

 相場情報を正確に把握することは、不動産売却を成功させる鍵です。相場情報を収集するには、不動産ポータルサイトや国土交通省が提供する「土地総合情報システム」などの公的なデータを活用します。これらのデータから、近隣での類似物件の取引事例や価格の動向を把握できます。また、複数の不動産会社に査定を依頼し、プロの意見を比較することも有効です。信頼できる専門家を選ぶ際には、地域密着型の実績があるか、対応の迅速さの口コミや評価が高いかを確認することが重要です。

 さらに、不動産会社が提供する査定価格だけでなく、その根拠や売却戦略を丁寧に説明してくれる担当者を選ぶと、安心して売却を進められます。査定の際に細かい根拠を説明し、売却後のサポートまで視野に入れて提案できる業者は信頼性が高いと言えます。専門家選びに失敗しないためにも、面談時に質問を重ね、対応の質を見極めることが重要です。

5. 相続した不動産をスムーズに売却するためのポイント

 スムーズな売却には、手続きの早期着手が鍵です。特に相続登記や遺産分割協議に時間がかかる場合があります。また、不動産会社の選定や広告戦略も重要です。信頼できる専門家と連携し、内覧や交渉をスムーズに進めましょう。

5-1 トラブルを防ぐための契約書の確認事項

 売却契約書は、トラブルを防ぐための最重要文書です。確認すべき項目として、まず「引渡し条件」が挙げられます。たとえば、設備の状態や現状有姿での引渡し条件が明記されているか、漏れがないかを確認します。また、契約解除に関する条項(違約金の設定や解除可能な条件)も明確になっている必要があります。さらに、手付金の金額と支払い条件が適切かどうかも重要です。売主としての義務である「瑕疵担保責任」に関する記載では、責任範囲を明確にし、不測の事態に備えることが求められます。

 契約書の文言が不明確であったり、不利な内容が含まれている可能性がある場合は、不動産会社や弁護士、不動産コンサルタントにチェックしてもらうことでリスクを回避できます。特に、手付金の取り扱いや違約金の条件については注意を払う必要があります。

5-2 売却後に必要な手続きと次のステップ

 不動産売却後には、税務関連の手続きや資金運用の計画を立てることが必要です。まず、譲渡所得税の確定申告を行い、売却益が発生した場合には期限内に納付します。これを怠ると延滞税が発生するため注意が必要です。また、固定資産税や都市計画税の清算手続きも重要です。売却により得た資金の用途については、次の不動産購入や投資計画の検討を進めます。相続財産が多い場合は、家族信託や遺言の作成を通じて将来の相続トラブルを防ぐ準備を行うのも良いでしょう。

 売却が一段落した後でも、専門家と相談しながら適切なフォローアップを行うことで、資産管理や次のステップがよりスムーズになります。

6. まとめ

 相続した不動産を売却する際は、相続登記や名義変更を済ませ、必要な手続きを正確に進めることが重要です。適正な売却価格を設定するために相場を把握し、信頼できる不動産会社を選びましょう。また、譲渡所得税や相続税の特例を活用することで、税負担を軽減できます。契約時には、引渡し条件や瑕疵担保責任を明確にし、トラブルを防ぐ対策も必要です。売却後の税務申告や資金計画を含め、専門家と相談しながら慎重に進めることが成功の鍵となります。

 本記事で紹介した基本知識や準備、税金のポイントを押さえておくことで、トラブルを防ぎつつ円滑に売却を進められます。専門家のアドバイスも活用し、安心して手続きを進めましょう。
八幡地所株式会社<br>代表取締役 渋谷秀昭

八幡地所株式会社
代表取締役 渋谷秀昭

Hideaki Shibuya

購入した自宅を売却の際、不動産売買に興味を持ち実体験を活かしたく不動産業へ転職。売買専門の仲介会社、建売分譲会社で不動産売買の営業スキルを習得後、地元の流山市で地域密着会社として父が起業した八幡地所株式会社へ移る。
更なる流山市の発展に貢献できるよう現在は代表取締役として不動産売買の宅地建物取引業をメインに建設業・損害保険代理業を勤しむ。なかでも不動産売買の相談や売買にまつわるお金に関するプランニングと総合的な生活設計を行うプランニングに注力しております。

【保有資格】
●宅地建物取引士
●相続鑑定士
●2級ファイナンシャル・プランニング技能士/AFP
●2級建築施工管理技士
●住宅ローンアドバイザー
●賃貸住宅管理業業務管理者
●損害保険募集人(火災・自動車・傷害)

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