不動産を売却しようと思っても、室内に荷物が残ったままの状態、いわゆる「残置物」がある場合、スムーズに売却できないことがあります。特に相続や空き家などで放置された不動産では、家具や家電、衣類、生活用品などが大量に残っていることも少なくありません。この記事では、残置物のある不動産を売却する際の基礎知識から、実際の対応方法、注意点、そして不動産会社との連携方法まで詳しく解説します。
1. 残置物とは?売却時の基本知識
不動産の売却時に問題となる「残置物」とは、前の居住者が残した家具や家電、生活用品などの不要物を指します。これらは原則、売主が撤去する必要があり、放置すると売却価格の低下や契約トラブルの原因になることも。売却活動をスムーズに進めるには、残置物の正しい理解と早めの対応が重要です。
1-1. 不動産売却における「残置物」とは
残置物とは、前の所有者や居住者が不動産内に残した家具・家電・生活雑貨・衣類・ゴミなどのすべてを指します。本来、売却に際しては売主が責任をもって撤去すべきものです。とくに中古物件では、このような残置物が原因で売却が進まない、あるいは印象が悪くなるケースが目立ちます。
1-2. 残置物が売却に与える影響
残置物が放置されていると、内見時に物件の印象が悪化し、買主にマイナスのイメージを与えます。その結果、売却価格の減額交渉を受けたり、買主が離れてしまったりすることも。また、引き渡し後のトラブルの原因にもなりかねないため、売却時には「残置物の扱い」を明確にすることがとても重要です。
2. 残置物を放置したまま売却できる?
残置物がある不動産でも「現状有姿」で売却することは可能です。この場合、買主がそのまま引き取る形となり、売主は処分の手間や費用を抑えられます。ただし、契約時に残置物の明記や条件設定を怠ると、引き渡し後のトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
2-1. 現状有姿で売却する方法
現状有姿(げんじょうゆうし)とは、「現在の状態のまま」不動産を売却する方法です。残置物があってもそのまま買主に引き渡す契約で、売主にとっては処分や清掃の手間を省けるメリットがあります。再建築目的や投資物件として購入する買主にとっては、建物や残置物がさほど問題にならないこともあります。
2-2. 現状有姿売却の注意点とリスク
現状有姿で売却する場合でも、契約書に残置物の扱いを明記しなければ、引渡し後に「話が違う」とトラブルになる可能性があります。写真やリストで残置物の内容を明確にしておき、買主の同意を必ず得るようにしましょう。加えて、古い家電などがある場合は、リサイクル法上の問題も確認が必要です。
3. 残置物を撤去してから売却する流れ
残置物を処分してから不動産を売却する方法は、物件の印象を向上させ、買い手を見つけやすくする効果があります。専門業者に依頼すれば効率的に対応可能で、相場は物量によって異なります。自力で処分することもできますが、時間と手間を考慮し、計画的に進めましょう。
3-1. 撤去業者への依頼と費用相場
残置物の量が多い場合や手に負えない場合は、専門の不用品回収業者や遺品整理業者に依頼するのが効率的です。費用は物件の広さや物の量により異なりますが、1Kで5万〜10万円、3LDK以上になると20万円を超えることもあります。見積もりは複数業者から取りましょう。
3-2. 自分で残置物を処分する場合の注意点
費用を抑えるために自分で処分する場合、自治体のルールに従って分別し、粗大ごみ収集を予約する必要があります。時間と体力がかかるうえ、売却スケジュールに間に合わないリスクもあります。また、大量の荷物を短期間で処分するには人手が必要なため、事前の計画が必須です。
4. 相続や空き家で残置物がある不動産の売却
相続した不動産や空き家には、多くの残置物がそのまま残されているケースが多くあります。遺品整理や相続人間の調整も必要となるため、売却前の準備には時間がかかることも。必要に応じて専門業者や行政の補助制度を活用し、スムーズな売却につなげることが重要です。
4-1. 相続した空き家の残置物対応
相続で取得した不動産には、故人が生前使用していた家具や生活用品がそのまま残っているケースが多く見られます。複数の相続人がいる場合は、誰が片付けをするのか、費用をどう分担するかなどの合意形成も必要です。感情面での負担も大きいため、遺品整理士などの専門業者を活用するのも一案です。
4-2. 空き家特例や補助制度の活用方法
相続した空き家には、一定の条件を満たすことで「空き家の譲渡所得3,000万円特別控除」が適用される場合があります。また、自治体によっては解体・残置物撤去に対する補助金を用意していることもあります。売却前に税理士や市町村窓口で制度の活用を確認しましょう。
5. 残置物の扱いを不動産会社と相談するコツ
残置物がある不動産を売却する際は、不動産会社と方針を共有し、最適な対応を相談することがカギとなります。物件の状況によっては、撤去せずに売却できるケースも。中には残置物処分を含む一括対応が可能な業者もあるため、複数社に相談して比較検討するのが成功への第一歩です。
5-1. 売却戦略に応じた提案を受ける
信頼できる不動産会社に残置物の状況を伝えることで、撤去したほうが売れやすいのか、現状有姿でも問題ないかといった、具体的な売却戦略をアドバイスしてもらえます。売却価格の査定時に、残置物が与える影響を含めて見てもらうことが大切です。
5-2. 残置物の処分まで一括対応する不動産会社も
最近では、残置物の撤去や清掃、リフォーム提案までワンストップで対応する不動産会社も増えています。片付けの手間を減らし、迅速に売却を進めたい方には非常に有効な選択肢です。複数の不動産会社に相談し、サービス内容や費用を比較することをおすすめします。
6. まとめ
残置物がある不動産の売却は、通常よりも準備が必要ですが、適切な対応をすればスムーズに進めることが可能です。現状有姿で売却するか、撤去してから売却するかは物件の状態やターゲット層によって異なります。残置物が原因で売却チャンスを逃さないためにも、専門業者や信頼できる不動産会社に早めに相談し、状況に合った戦略を立てましょう。
当社・八幡地所株式会社は専門会社と連携のうえ、残置物の片づけや残置物がある状態での買取に対応しております。残置物の量や不動産の規模には左右されず現状のままで各種対応ができますので、残置物のある不動産についてお困りでしたら当社へご相談くださいませ。